作品解説 

 


<彷徨>

詩・画  森 優       林 功二

 

石がひとつ

またひとつ

帰ってきた

村に

 

画像 (2002年) GALLERY KITAI

 


<あなたの歌>

 

年老いた盲目の女性がうたった歌(ヌートカ族)1939年

英訳ジョセフ・ブルチャックそれでもあなたの道を行け

中沢新一・石川雄午訳 株めるくまーるより

 

あなたの歌をうたえ

空を見上げながら

 

画像 (2000年) 

 


<水上揺籃>

崎山多美・詩 

 

あぬ夜ぬ御伽や、

ウトウガニどうやたる、

ウトウガニが仕業や、

御主前ぬ心の揺るがし、

シマぬククルゆ揺るがし、

ウトウガニが声や

シマ内に響み

余所ジマにとうゆみ、

シマ内ゆ割き分き胸ウチゆ砕き取り、

御涙ぐとう流り、

海ナカイ流りながイ

 

 

 

 

画像   (2001年) 群像誌


 

<荒野>

森 優 「画」 タイトルより

荒野

 

画像   (2003年) 

 


 

<ワニの歯ぎしり>

橋本妙

ー 夕食、何か召し上がりたいものあります ? ー

 

「そうねえ今晩はお盆一杯のダイヤモニド。

ナイフとフォークで食べましょ。」

 

画像 (2000年)

 

 


 

ワニの歯ぎしり 2

橋本妙

「人間手ね、口とおしりの穴を

引っ張ると、一本の管になるの。一本の管の

いろいろなところがへこんだり、出っぱったり

して目になったり胃になったり

腸になったりするのよ。・・・」

 

画像 (2000年) 

 

 


 

<ジェロニモの言葉>

ディーブラウン

「我が魂を聖地に埋めよ」鈴木主税 訳 草思社

 

「私は家族とともに平和に

暮らしていた食べるものは豊富

だったしよく眠り、一族の者の

面倒をみ完全に満足していた

私は正しくふるまい馬も人も

殺さなかった。・・・ 私が何を

したと言うのか」

 

画像 (2001年) 

 

 


<抽出した別れ>

奥 成達・詩

 

怠惰な紫

の雨の中

の駱駝の王子

の乾いた骨の白い花

の戦慄

の赤いガラスの馬の

砂の楼蘭

の彩の針の匂い

の紫の煙のまっすぐに静脈

の花束

の怠惰な雨

の紫の不意に

別れ

 

画像 (2001年) 

 

 


 

 

<大地の崩れ墜つ>

森 優・詩

大地の崩れ墜つ日の接近が

吹く風の寒く 花の凍りたる

4月

靴はくに手のしびれ紐結び得ず

床踏む足の冷たさを

痛み覚えし その朝

兄は逝った

昔 麻布の豆腐屋の

お稲荷さんの槲木の下

廻した廻した 米独楽の

夢を見た その朝

兄一人遊人となる

今は麻布に

豆腐やのラッパは鳴らず

槲木もお稲荷も

その跡形も無く ・ ・ ・

夢の中

米独楽も面子も凧も

廻って廻って

幼子 ・ ・ ・ ・ く美しく

夢の中にも兄は恃もし

麻布十番ビルの谷間に

・ ・ る影を踏み

弟祈る

 

 

 

画像 (2002年) 

 


 

<朝まで待てない>

阿久悠・詩

朝まで待てない

 

画 像  (2001年)

 

 

 


 

<朝まで待てない>

阿久悠・詩

 

あきらめ捨てた筈なのに

恋は眠りを忘れさせる

闇に向かってお前の名を呼ぶ

今すぐ逢いたい

朝まで待てない

林 功二書

阿久 悠(右) と功二

 

画 像  (2001年)

 


<風化>

 

画像  (2003年)

 


 

<明日の何処>

山口謙二郎・詩

長屋より

 

夜半に飲む酒の味の渋いというジさまの

虚しさ聞こえて壁ひとつ隣のじじばばが

男盛りの息子は息絶えた

報せにジさま狼狽えず

酒茶碗にて呷りどこいとばかりに

乾いたひび割れ見せた色褪せたやせ衰えた

昇り龍の墨色隠すマフラーの襟元掻き

合わせて何処へ向かうのか知らずとも

良いことばかりあるわけでもなく窓越しの

噂垂れ流すおくさんたちの身寄りである

なし向こう三軒両隣とはよくしたもので

すでに弔いの役割は下足番ということに

なっている長屋の我が身の何処へかを考

えたわけでもなく

テレビのギャグにつら

れて思わず笑顔であることを振り払う春

   

画像 (2002年)

 


 

<蓮釈>

 

 

 

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